メンタルヘルスの視点から、脳と心臓と腸の関係を考えてみる。
要約
心と身体は「脳(brain)」「心臓・感情(heart)」「腸(gut)」という3つの視点でつながっており、これらが自律神経系や迷走神経、ホルモン・免疫反応を介して双方向に影響し合うことで、私たちの気分や体調、意思決定が生まれます 。
1. 脳(Brain)の役割:情報処理と中枢制御
脳は外界や身体からの情報を受け取り、思考・記憶・判断を行う司令塔です。特に前頭前野などの領域が注意を向けたり、計画を立てたりする機能を担います 。脳はまた、心臓や腸と自律神経を介して絶えず情報をやり取りし、呼吸や心拍数、消化運動を調整します 。
2. 心臓・感情(Heart)の役割:情動と内臓感覚
「heart」は単なるポンプではなく、感情体験のアンテナでもあります。興奮や安らぎなどの情動は、心拍数や血圧の変化として身体に表れ、私たちの「感じる力」を支えます 。さらに、心臓から脳へ送られる血液中のホルモンや、迷走神経を通じた信号が、気分やストレス耐性に影響を与えます 。
3. 腸(Gut)の役割:“第二の脳”としての微生物叢
腸には「エンターディック神経系」と呼ばれる神経網が張り巡らされ、「第二の脳」とも呼ばれます。腸内細菌(マイクロバイオーム)が産生する神経伝達物質や短鎖脂肪酸は、迷走神経や血流を通じて脳に届き、気分や認知に影響します 。腸の調子が悪いと不安や憂うつを感じやすくなり、逆にストレスが腸の働きを乱すこともあります 。
4. 三者をつなぐメカニズム:自律神経・迷走神経・ホルモン系
- 自律神経系(ANS):交感神経と副交感神経が心拍・消化・呼吸を調節し、脳・心臓・腸のバランスを保ちます 。
- 迷走神経(Vagus nerve):脳と腸を直接結びつけ、上下方向に情報をやり取り。腸内状態が脳のストレス応答に影響する経路です 。
- ホルモン・免疫反応:ストレス時に分泌されるコルチゾールなどのホルモンや、炎症性サイトカインが心身にもたらす影響は大きく、心臓血管や腸粘膜の機能も変化します 。
5. 日常への応用・セルフケア
- 深呼吸や軽い運動で副交感神経を刺激し、脳→心臓→腸の調和を促す。
- 発酵食品や食物繊維を摂って腸内環境を整え、腸→脳へのポジティブ信号を増やす。
- 心地よい人間関係や趣味で心拍数を安定させ、情動→脳のネガティブループを緩和する。
これらを組み合わせることで、brain・heart・gutの三位一体アプローチで、心身の健康を高めることができます。